今回の温泉は2010年に訪れた福島県福島市の一軒宿「微温湯(ぬるゆ)温泉 旅館二階堂」です。
「旅館二階堂」は磐梯朝日国立公園吾妻小富士の標高約920mに位置しており、冬は雪深いため、4月下旬~11月下旬までの期間限定での営業となっています。
微温湯(ぬるゆ)温泉の歴史
言い伝えによると、「微温湯温泉」は江戸時代、享保年間(1716~1735年)頃から存在が知られていた言われていますが、山深い場所にあるため、なかなか利用する人はいなかったようです。
「旅館二階堂」は享保3年(1803年)に初代が桜本村(現福島市)から譲り受け、湯治者を受け入れることから始まります。幕末明治(1868年頃)の戊辰戦争時には官軍に建物が焼き払われるなどの困難を経て、明治時代に再建され、現在まで続いています。3つある建物はすべて国の登録有形文化財となっています。
細い山道を抜けると、ひっそりと佇む建物が見えてきます。
車を停めて、秘湯感たっぷりの建物に向かいます。
玄関から見える館内の雰囲気も素晴らしく、右側にある帳場で入浴料を支払います。
入浴料:大人700円 小人(小学生)350円
立ち寄り湯の営業時間:10時~17時
定休日:12月上旬~4月中旬は雪のため休業
中庭沿いにある廊下を進み、浴場へ向かいます。
「日本秘湯を守る会」の会員宿です。
館内にはレトロなポスターや物が点在し、その雰囲気を楽しむことができます。
脱衣所は備え付けの棚に脱衣カゴが置かれている簡素なつくりです。
いざ温泉へ!
浴室に入ると、ほのかに硫黄の香りが漂っています。3段ある小階段をおりると、大人6~7人サイズの浴槽と大人2~3人サイズの浴槽があります。
広い方の浴槽の湯口からは湯がドバドバと勢いよく注がれ、浴槽から溢れ出ています。こちらは源泉掛け流しの温泉が贅沢に使われ、小さいサイズの浴槽は上がり湯として、加温された普通の湯が使用されています。
早速、掛湯は禁止されているので、シャワーで体を清め、湯にゆっくりと体を沈めます。
ひんやりとした湯が体を包み、約32℃の温湯は初めは冷たく感じますが、段々と体が慣れてくると、心地よくなり、湯から出られません。
泉質は酸性-含鉄(Ⅱ、Ⅲ)-アルミニウムー硫酸塩泉。
温泉と向き合う贅沢な時
浴室内はほとんどが木造であり、湯治場の雰囲気が漂っています。
ほのかに香る硫黄の香りを感じつつ、勢いよく注がれる湯の音を聞きながら、時を忘れての~んびりと温泉を満喫しました。一度浸かると、クセになる素晴らしい湯です。
「旅館二階堂」は温泉だけでなく、鄙びた湯治宿の風情があり、のんびりと過ごしたい方におすすめの旅館です。
帰り道、旅館の玄関前でかわいい猫たちに遭遇しました。
交通アクセス
🚙東北自動車道・福島西ICから約30分
🅿約10台(無料)